今回は、高野和明著の「踏切の幽霊」です。
またしても、YouTubeの「積読チャンネル」で紹介された本を購入。その動画は次のとおり。
またしても、個人的に安定回と思っている黒川さん登場回ですが、本作の紹介は飯田さんでしたので、面白おかしく紹介されています。
ただ、今回の購入は、ブックオフで見つけてしまったので、そちらで購入しました。
ネタバレは後半の方に記載しますので、まだ読んでいない方は「ネタバレ注意」でページを閉じてください。
では、いってみましょー
踏切の幽霊 概要
著者は高野和明氏。
江戸川乱歩賞を満場一致で獲得した「13階段」や、2011年に発表した「ジェノサイド」が代表作らしいのですが、読んだことあるようなないような・・・。
本作「踏切の幽霊」も、第169回直木三十五賞候補になったようです。
内容は裏表紙から引用。
その踏切で撮られた写真には、写るはずのない人影が記録されていた。大都市の片隅で起こった怪異。最愛の妻を亡くし、絶望の淵にいる記者が突き止めた真実とは。哀しみ、怒り、恐怖ーーーー読む者の心に様々な感情を喚起する。ホラーを超えた新たな幽霊小説の誕生。迫真の筆致で描かれた、生と死についての物語。
壮大な物語ですね。
カテゴリーを見いだすのは不毛なことかもしれませんが、ホラー・ミステリー小説といったところです。
感想(ネタバレなし)
ホラー展開を中心としたミステリー小説。
冒頭に起こった事件をきっかけに、心霊現象としか言いようがない事象が発生。
その事件を追いかける記者が主人公です。
心霊現象を「是」とする展開ではなく、主人公も怪異現象には懐疑的な立場で取材をはじめますが、怪異現象としたいいようがない状況が発生し、その状況を受け入れながら心霊現象の原因をつきとめていきます。
記者が取材を通じてひとつずつ真実へ近づくものの、同時に謎は深まっていく展開ですので、常に話へ引き込まれ、あっというまに読破しました(二日間)。
心霊現象の背景にある内容など、個人的には胸くそ展開もあるので、やるせない怒りを抱くこともありましたが、記者の人生と人間性に魅力を感じ、そして共感(なのかな)もしながら読み進められるのでいつしか怒りは収まっていたと思います。
しっかりと綺麗に幕を閉じますので、読後感は満足です。
もともとホラー小説は読まないのですが、本作はそんな私でも楽しめた一冊です。
ホラーといっても、怖がらせることを目的に取り上げてはおらず、幽霊の存在を通じて人生の悲哀と社会の残酷さを表現したのかなぁと。
怒りを覚える箇所はあるものの、全体的には謎を追いかけるミステリー展開を楽しめる一冊です。
ぐだぐだだった主人公が最終的には男気をみせる(昨今、この表現はアウトなんですかね)ところは爽快です。

感想(ネタバレ)
では、ネタバレの感想です。ちょっと行をあけます。
ネタバレを避けたい方は、この先は読まないようにしてください。
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幽霊の正体を探す旅。いくら取材しても、幽霊となった女性の本名がつかめず、それどころか全てが謎で何も前に進まない状況。
そんな中、一つずつピースが埋まりながら、幽霊の正体を掴んでいく展開は、胸熱でしたね。
ただ、この幽霊の女性。あまりにも悲惨な生い立ちですよね。
父親が楽するためだけに、娘を幼少期から売春させる鬼畜ぶり。娘をもつ父親として、そのシーンは怒りしか沸きませんでした。いまでも、思い出しただけで腹立ちます。
幼少期の環境が人格形成に大きな影響を与えるのは言うまでもなく、「笑い方を知らない」大人へと成長したことは必然であり、やるせないですね。
体を売ることに抵抗がないからなのか、はたまた人間関係を構築することができない不器用さからか、結局は売春で生計を立てる決断は、現代社会におけるホスト狂いや東横キッズなどの社会問題を表現しているのかもしれませんね。
やるせないです。
生まれた村も、この子を禁忌として扱い、救いの手を差し伸べなかった。これぞ村社会といった典型的な展開。物語とは言え、本当に腹ただしい話です。
幽霊となった女性が、最後に踏切まで歩いて行った理由が、故郷へ帰りたかったからというところは、やるせないですよね。酷い扱いを受けた故郷であっても、やはり自分の故郷である事実は変わらず、最終的には故郷を思う気持ちへ帰るんですね。心の拠り所は、故郷なのか、それとも母親だったのか。
主人公の松田の復活劇でもあったのかなぁとも思うのですが、辛い過去から自暴自棄になり、本件に携わる中で、生きる力を取り戻す、そして最後は政治家をぶっとばすシーンは胸熱でした。
大切な人が亡くなった時の喪失感をどのように克服すべきか。その反面、それでも生へ執着するのが人間。安易に死を選べとは決して言いたくはありませんが、こうした相反する感情をもっているのが人なんですよね。
良い味だしていたのは霊能者。
3000円って安くないですか?w
これって、本当の相場なんですかね。
調査する時間を考えれば、どう考えても割が合わない金額設定。
それとも、そこから今回みたいに追加料金を狙う商法なんでしょうか。
ホラー・ミステリー小説として読み進める中、この妖しい霊能者が本物の霊能者だったことには驚きを隠せません。
幽霊の正体を暴くための、重要なキーマンになりましたね。おもろい。
いずれにしても、ホラー・ミステリー小説として楽しめました。
こんな女性が現れない世の中へとして欲しいものです。

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