【時事ネタ】アリとキリギリス

50代でFIREめざしているときちです。

いま、SNS中心に「アリとキリギリス」を用いた政策批判で炎上しているようですので、便乗して背景事情含めてまとめてみます。

炎上理由 配当所得の保険料算入検討

医療制度の改正は、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の医療保険部会で議論されますが、そこで医療保険算定に係る改正が議論されています。

その内容が、配当所得の健康保険料算入です。

健康保険制度はいくつかありますが、種類の解説は過去記事をご参照ください。

今回、改正が予定されているのが、国民健康保険と後期高齢者医療制度に配当金所得も算入させるというものです。

そもそも、国民健康保険(以後、国保)と後期高齢者医療制度(以後、高齢者)は、加入者の所得に応じて係数を乗じて保険料が算定(国保はさらに人頭割や均等割も加算)されますが、その所得に配当金所得もきちんと反映させようとするものです。

配当金所得の課税方法は、源泉されるか自分で確定申告するかの二択となりますが、現在でも配当所得を確定申告している人は、国保・高齢者ともに保険料算定に算入されていますが、特別口座で源泉されている人は保険料算定に算入されていません。

これが不平等であると指摘され、配当所得であれば全て算入させようというものです。

制度改正には、どのように配当所得を把握するか(証券会社が法定調書提出で整理する見通し)、そして行政のシステム構築と細則整理があるので、施行まで4~5年かかるとの考えが厚労省見解ですが、いずれにしても算入は余儀なくされそうです。

ただ、協会健保や健保組合の保険料には反映しない可能性もあるので、これが不平等であるとの見方も委員からは指摘されています。

先ほども記載しましたとおり、既に確定申告している配当所得は国保・高齢者両方の保険料に算入されていますが、協会健保や健保組合の保険料は「月収」で判断するため、反映されていません。というか、反映は無理でしょう。

なので、不平等の解消は結局整理されていませんが、配当所得を何が何でも保険料に反映させたいのは、財政当局の強い意向ですので、導入は避けられそうもない情勢です。

なぜ「アリとキリギリス」の話がもちだされたのか

この配当所得を保険料算入する考え方が大炎上中ということです。

そこで持ち出されたのがイソップ寓話の一つである「アリとキリギリス」の話。

有名な寓話ですので詳細は割愛しますが、ざっくりいえばコツコツとがんばったアリと人生を満喫して浪費したキリギリスの話。

今回のケースでいえば、「現役時代に生活を切り詰めて投資をおこない、老後にしっかりと備えたにもかかわらず、その頑張って貯めたお金を保険料に組み入れ、現役時代に浪費して一切お金を貯めなかった人は保険料が据え置かれるのは納得がいかない」といったものです。

たしかに、その通り!

年金問題でも同様のことがいえますね。

一生懸命国民年金保険料を払った人と、国民年金保険料を無視して散財したくせに、老後は生活保護を受給して、基礎年金生活者よりも裕福な生活を送っている、などの声もよく耳にします。

NISA口座など政策的課題は保険料算定の対象とせず、その他特別口座で受け取る配当所得が対象となります。

格差是正は大事 ただ苦労した人が「損した」社会はおかしい

格差社会は広がり、超富裕層は着実に資産を増やしている中、貧困層も広がり、中間所得層も実収入が伸びず、格差はさらに広がっているのも事実です。

格差社会の是正は絶対に必要だと思います。

格差社会の是正策として「応能負担」の考え方があり、配当所得を保険料に算入させる根拠も「応能負担」にあるため、その点を否定する気はありません。

負担できる人が負担する社会構造は、当然の社会といえます。

しかし、今回のケースは若干視点が異なると思います。

先ほども記載しましたが、一般所得階層で配当所得がある人は、老後が心配で生活費をきりつめて投資にまわし、しっかりと資産形成した人たちです。

「老後が心配」だからお金を貯めたのに、ようやくその貯めたお金を活用しようと思ったら、そこからしっかりと保険料を徴収する。しかし、散々散財してきた人たちは、真面目にお金を貯めた人たちより安い保険料ですむ。

いやぁ、納得できないですよね。

たしかに、庶民では想像できない配当所得を得ている人たちもいますから、そうした人たちからはしっかりと税金・保険料をとってもらいたいものですが、我々庶民は配当所得といってもたかがしれています。

そもそも、年金が低いから貯めたのに、さらに負担を押しつけるって、どうかしていると思いませんか?

しかも、高齢者といえば、これから医療や介護の費用が懸念され、そのためにしっかりと貯めてきた資産を、保険料という形で取り崩させようとするなんて、信じられません。

繰り返しますが、格差社会は是正すべきですし、超富裕層からは応能負担をしてもらうべきですが、庶民層は「なぜその資産があるのか」の背景事情をしっかりと考えて政策を考えて欲しいものです。

まとめ

配当所得の保険料算入は、職業柄議論の経過は知っていましたが、今回、アリとキリギリスの話で炎上しているとの報道を見て、我慢できず投稿しました。

応能負担というから、まず超富裕層から相応の負担してもらうことで、財源を確保して欲しいものです。

税金と健康保険料、年金保険料で、50%近い金額が奪われています。

昔なら一揆がおこる比率ですよ。

頑張っている人が報われる社会をしっかりと考えて欲しいものです。

私のFIRE後の夢を壊さないで欲しい(これが本音だったりする・・・)。

ときち

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